マンスリーコラム

バレンタインショックのその後……。

2月14日に生命保険各社が経営者向け定期保険などの販売休止を決定した、いわゆる「バレンタイン・ショック」。

それから半年以上、全ての保険会社は法人契約の定期保険の販売を停止する異例の状況が続き、10月から一部の会社が新税制の取り扱いにて再販売を開始しました。販売停止中には抜け駆けする会社もあるはずですが、今回はそういう会社は1社も無く当局の締め付けがかなり厳粛に行われたようです。

税務取り扱いがグレーな商品の販売については、1部の外資系会社が先行し商品改定による返戻率競争や、そこに日本社が参入し規制が入るというのが過去のパターンでしたが、今回の「災害保証期間付定期保険」に関しては日本の最大手会社が率先して販売し、またその大手2社の返戻率競争の中に外資が参入する形で大きく全額損金マーケットが開拓されました。節税とは言っても単に利益の先送りに過ぎず、約7割の中小企業が赤字決算をしている状況からそんなにニーズは無いと思われますが、今まで外資を中心として2,000億円市場であったものが5,000億とも6,000億円にも膨らんだといいます。

保険の設計書においては、解約返戻金と払込保険料の除数を単純返戻率、解約返戻金と納税減少額を取り込んだ払込累計の除数が実質返戻率としてすべての保険会社が横並びで表示していました。解約時の益金課税を無視して実質返戻120%や130%と言っても笑うしかありませんが、真に受けて年払い数百万や何千万円もの保険料を支払い契約した人はいるのでしょうか。

ともあれ、今回は商品のルールを新たに制定するといった小手先の変更ではなく、過去の定期保険関係の通達をすべて廃止し、新たに解約返戻率そのものを規制するといったもので、保険での損金ビジネスそのものを規制するものです。また税効果を含めた実質返戻率の表示も禁止されました。これによって平成3年ごろに外資系生保が発売した「逓増定期保険」によって始まった節税ビジネスモデルが終焉を迎えた感はありますが、当初は全額損金でも返戻率は72~3%程度であったことを思うと、以前に戻ったのかもしれません。

代替商品としては全員加入の養老保険、オペレーティングリースあたりになるのでしょうか。どちらも返戻は90%から100%はありますが、養老保険は1/2損金、オペは決算があえば投資初年度70%、次年度は30%損金です。全額損金となると、鉄板の倒産防止共済(結構未加入の企業が多い)や社長自身の賞与支給から検討してみてはいかがでしょう。