マンスリーコラム

47万の壁----日本の成長率を妨げるもの

バブル崩壊から失われた20年とか、30年とか言われ続けてその間、中国は日本を追い抜き、米国、EU諸国は順調に経済成長をしていったにもかかわらず、日本は給料はあがらず、ここに来て円安等にて物価高にはなってきましたが、総じて物価やサービス料金は現状維持が続いてきました。
日本のみが低成長となった原因は、巨額の公的債務や低金利政策を取り続けた日銀の失策等色々言われますが、「在職老齢年金の47万円の壁」も日本の成長を阻む一つといえます。

在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式
基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合
:全額支給
基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合
:基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

在職老齢年金停止試算例 【65歳社長 年金月額15万円/役員報酬50万円のケース】
総報酬月額相当額:標準報酬月額50万円+賞与なし=50万円
15万円+50万円=65万円  65万円−47万円=18万円 18万円÷2=9万円
基準額の47万円を超えていますので、その半分の9万円が支給停止となります。
15万円−9万円=4万円  実際の年金受給額は4万円となります。

そのほかに、主婦の106万円の壁、給料1,800万円の壁、贈与110万円壁の壁などがあります。
・106万円の壁
106万円の壁は扶養範囲外となり自分で社会保険料を納める必要が出てきます。103万円の壁は、所得税の支払い義務が発生する境界です
・1,800万円の壁
給与所得1,800万円(月額役員報酬150万円)未満ですと、所得税・住民税の合計税率は43%、1,800万円超えますと50%となります。

・贈与110万円の壁
基礎控除110万円未満の贈与ですと、非課税なのはよくよく周知されています。しかし金額が少額なのがデメリットです。そこで贈与金額を410万円にしますと、課税額は35万円     となり課税率にしますと8.5%となります。今、贈与税は相続税とあわせて改正が論議されていますので、注視が必要です。

全部壁を取り払うことでもっと勤労意欲がでて活性化し、高齢者に貯まった資金が次世代に移動することで1%ぐらいは成長が期待できます。